
名作『赤毛のアン』の邦題に隠された驚きの裏話。欠点を魅力に変えるというメッセージを、にわかファン独自の視点で考察します。
没タイトルと編集者のセンス
以前投稿した、なぜ『赤毛のアン』ではダメなのか?の記事の中で、さんざん邦題に文句を言った記憶があります。
ですが私は『赤毛のアン』というタイトルが気に入っています。覚えやすいし、リズム感もある。
原題の、グリーン・ゲイブルズのアンを直訳すると『緑の切妻屋根のアン』となります。暗号みたいなタイトルですよね。聞いた話では、他にいくつか候補があったようです。
『夢見る少女』『窓辺の少女』『窓辺に倚る(よる)少女』
どれもピンときません。
それでも最初は『窓辺に倚る少女』に決まったそうなのです。ところが、この界隈では有名な話ですが、当時の三笠書房の編集者、小池喜孝さんが「赤毛のアン」という題名を提案。
これは、アンが欠点だと思っている赤毛こそが、アンの魅力を仕立て上げているというメッセージが込められているそうです。
これを聞いて、当時の編集者の、光り輝くセンスを感じずにはいられません。

口下手な男が契約を勝ち取った理由
こんな話を聞いたことがあります。ある会社に、どうしても契約を結んでほしい、別会社の社長がいたそうです。
何人もの口が立つ優秀な社員が説得しても、イエスと言わない頑固な社長。そこで最終手段に出しました。
彼のもとに送り込んだのは、社内で最も話下手な男。酒の席を設け、二人が商談する機会を作りました。
次の日になって社長から、御社と契約を結ぶという連絡が入りました。
不思議に思う社員たち。そこで皆は、彼に尋ねました。いったいどうやって説得させたのかと。その男はこう答えます。
「私はこれといった話はしていませんよ。ただ相手の話を聞いていただけです」
彼は、話すことは苦手だったかもしれませんが、聞き上手だったのです。
この社長は、饒舌に話をする社員ではなく、相手の立場に立って、親身に話を聞いてくれる彼を信頼したのです。
実は、アンも同じです。
アンは、可愛らしい欠点を持った女の子です。そばかすだらけで痩せっぽち。かんしゃくもちで、まぬけな失敗も多い。
そこに人は、親近感を覚えるのかもしれません。アンを孤児院から引き取ることに決めたマリラも、そんなところに惹かれたのではないでしょうか。
邦題である「赤毛のアン」の赤毛とは、欠点ではありません。アンの欠点の象徴であり、彼女の魅力を表しています。
個性豊かな少女アンを、上手く表現したタイトルですね。欠点は長所にもなりえると、赤毛のアンから学ぶことが出来ます。人生の必読書ではないでしょうか――
と、偉そうに語っている私ですが、実はまだ原作を読んでいません。映画とアニメで済ませている「にわかファン」です。
しかし、アンのように「欠点が魅力」であるならば、原作を読んでいないという私の致命的な欠点があるからこその、偏見のない洞察ではないでしょうか?