主人公ローラのお父さんは、実に才能豊かですよね。

音楽の才能、豊かな知識、そして優れた手仕事の技術。
これほどの逸材がなぜ世間的に成功をおさめないのかと、不思議に思う人は私だけではないはず。
まあ、ドラマですからと思っていましたが、その答えともいうべきエピソードが「子供たちへの贈り物」の中に描かれていました。
あらすじ
友人ジャックの突然の死をきっかけに、チャールズは自分の人生を見つめ直します。
生前にジャックが語っていた、「何かを成して自分が生きた証を後世に残したい」という言葉が、彼の胸に残っていたのです。
農業のかたわら、趣味と副業をかねて制作していたテーブル。それをミネアポリスで家具店を営むスベンが高く評価し、本業としてやらないかと誘います。
当初は断っていたものの、テーブルが高値で売れたことを知ると、家具職人として自分の可能性に挑戦したいと思うようになります。スベンもまた、後世に名を残せると保証します。
反対する妻を説得し、期間を決めて単身ミネアポリスへ向かいます。
彼がデザインしたテーブルは、シンプルながら美しく、瞬く間に予約が殺到しました。昼夜を問わず制作に打ち込む日々が続きました。
しかし、ある時を境に注文は途絶えます。原因は、大手家具店によるデザインの盗作でした。機械による大量生産で価格は半額以下。
裁判を起こすには時間も費用もかかります。為す術のないまま、チャールズは家具職人としての夢を諦めることになります。
チャールズにとっての成功とは
世間的な成功は、才能だけでは得られません。時代、出会い、運、そしてタイミング――すべてが重なって初めて実現するものです。
しかし、本当に問うべきは「何をもって成功とするのか」です。
彼はこう語ります。
「僕がこの仕事を始めたのは、印を残すためだ。家具に名を入れれば、人の記憶に残ると。だが自分の子供たちにさえ、忘れられるところだった」
未来に名を残すことに心を奪われ、目の前の「今」を犠牲にしていたのです。
多くの人が成功を求める理由は、突きつめれば幸せを求めているからです。富や名声が幸せを与えてくれるなら、それもひとつの価値でしょう。
しかし、チャールズにとっての幸せは別のところにありました。家族に囲まれ、愛に満ちた日々を送ること。それこそが、彼の生きがいだったのです。
子供たちへの贈り物【最後】
百年後の現在。オークションでチャールズの作ったテーブルが出品され、落札されました。スベンが予言したように、彼のデザインには普遍的な魅力がありました。

テーブルに焼き印された「CI」の文字は、チャールズ・インガルスの頭文字です。
かつてチャールズは、名を残したいと願いました。
しかし、彼が本当に望んでいたのは、家族の記憶の中に残る人生だったのではないでしょうか。