童話「くまくんと魔法のマント 」に隠された教え

2022年4月29日

スピリチュアル 読書

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世界傑作童話、「こぐまのくまくん」の中に、くまくんと魔法のマントという話があります。

              
これはもう驚きの内容。歴史上の覚者たちが、たとえ話を使って指し示そうとしたものが、この本にあります。心して読むように。


くまくんと魔法のマント
おお、寒い。ほら あんなに雪が降っている。こぐまのくまくんは、お母さんにいいました。

「寒いよう。あんなに雪が降っている。ボク、なにか、着るものがほしい」

そこで、母さんくまは、くまくんに、いいものをこしらえてやりました。


「ほうら、いいものが出来ましたよ。かぶってごらん」

「わあーい。帽子だ。これがあれば、もう寒くないぞ」

くまくんは外に出ていきました。


けれど、すぐに戻ってきました。



「どうしたの。まだ何か欲しいの?」と母さんくまが聞きました。

「寒いよう、ボク、なにか、着るものがほしい」

そこで母さんくまは、くまくんに、いいものをこしらえてくれました。

「ほうら、いいものが出来ましたよ。着てごらん」

「わあーい、オーバーだ、ばんざーい!もう、これで寒くないぞ」

くまくんは喜んで外へ出ていきました。


けれども、またすぐに戻ってきました。

「あら、何かまだ欲しいの?」と母さんくまは聞きました。

「ボク、寒い、なにか、着るものがほしい」

そこで母さんくまは、くまくんに、もう一度、いいものをこしらえてくれました。

「ほうら、くまくん、いいものが出来ましたよ。これさえあれば、もう寒くはないはずよ。さ、履いてごらん」

「わあーい、ズボンだ、ばんざーい。もう、これで寒くないぞ」

くまくんは、大喜びで外へ飛び出していきました。


ところが、またまた、戻ってきました。

「おやおや、今度はなあに?」と母さんくまが聞きました。

「ボク、寒い、なにか、着るものがほしいよう」


これには、母さんくま、ブチ切れ!


「いいこと」と母さんくまは言いました。

「おまえは、帽子をかぶって、オーバーを着て、ズボンを履いているのよ。このうえ、何が欲しいの?毛皮のマントでも欲しいっていうの?」

「うん、ボク、毛皮のマントがほしい」と、くまくんは言いました。

母さんくまは、くまくんの帽子を脱がせ、オーバーを脱がせ、ズボンを脱がせました。

そして、くまくんの体を、ポンポンと叩いて、「ほうら、毛皮のマントなら、ここにありますよ」といいました。

「ばんざーい!これ、ボクの毛皮のマントだ。これでもう、寒くないぞ」

くまくんは、そう言って、元気よく外に出ていきました。そして、ほんとにもう、ちっとも寒くなかったんですって。

なんだか、おかしいですね。


解説
この物語は、明らかに寓話ですね。本当の幸せとは何かを、暗に示しています。(寓話とは、教訓を含む物語。擬人化した動物を主人公とするものが多い。)

人間は、幸せをつねに外側に求めます。車や家、名声や富、あるいは結婚などなど。これらが手に入れば、幸福になれると信じています。

確かに一時は、満足するかもしれません。しかし、いずれ虚しさが訪れます。そしてまた、何かで心を満たそうと試みます。

しかし、根本的には満たされません。心は寒いままです。それはなぜなのか?本当の幸せとは、物や出来事とは関係がないからです。

外側の何を持ってしても、満たされることはありません。今すでに、ここにあるもの。「あなた」が幸せです。

古代インド哲学がアートマンと呼び、母さんくまが「ここにありますよ」と言ったもの。本当の私です。

私たちは、自分が誰なのかを忘れてしまいました。それを思い出すまでは完全に満たされることはありません。

心に虚しさがあるとき、それは”本当の私”からのささやきなのです。その時、初めて人は向きを変え、自己の探求を始めます。

キリストは、「神の国は、あなたの中にある」と説いています。すなわち、あなたの中に幸福を求めよ、というメッセージです。

この寓話は、外側にだけ幸せを追い求めるのはやめなさい、と伝えているのかもしれませんね。とてつもなく深い物語です。

今日の格言。童話、あなどるべからず。

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