自分を変えたい、成功したいという主人公と、そのための方法を教えるガネーシャ神との不思議な物語。
インドの神様なのに、なぜか関西弁。さらにタバコを吸ったりあんみつが好きだったりと、どこか親近感がある。
内容は、ガネーシャが与える課題を毎日、ひとつずつ実践していくだけで、人生が変わるというもの。いわゆる自己啓発本。
ガネーシャ曰く、これが最も簡単な方法であり、これで変われなかったら、一生無理!とまで言い切っています。
全部で29の課題があるのですが、どれも過去の偉人たちが実際に行っていた習慣が紹介されています。
とはいえ、ひとつひとつはとても簡単。
例えば、最初の課題が、「靴を磨く」こと。こんな簡単な方法で人は変われるのか?と、主人公は不満をこぼします。ごもっともな感想。
しかし、ガネーシャの29の課題の根底には、ある共通点があります。それは、誠実さです。
誠実さのススメ
誠実の意味を辞書で調べると、私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること、と書かれています。
つまり、これらの課題はすべて、誠実さを育むものだと私は思うのです。靴を大切に扱うのも真心。
誠実さは、仕事において人生において、最も大切な資質ですよね。成功哲学の第一人者、ナポレオン・ヒルも、こう言っています。
「他人に同調し、仲良くやっていくのは簡単ですが、他人に関係なく、誠実さという最高の基準を守り行動できるなら、あなたは自然に一流の人間に成長していきます。」
ガネーシャが成功の秘訣よりも、もっと本質的なことを教えているところに、読者は共感するのかもしれませんね。
トイレ掃除を1か月やってみた結果
本書では、1日にひとつずつ、全部の課題をやるように指導されていますが、私は習慣化させるために、あえてひとつだけ選びました。トイレ掃除です。
職場のトイレを毎日掃除すると決めました。とはいえ、トイレ掃除は皆、ある程度やるので、私は誰もやらない床の雑巾掛けをすることにしました。
モップではなく雑巾です。禅僧の修行っぽくてかっこいい。修行と聞くと、燃えるタイプっす。ただし5分くらいで終わりますが。
もうひとつ気を付けたことがあります。それは誰も見ていない時にやること。
掃除を始めて最初のうちは、何とも思いませんでしたが、1か月を過ぎると徐々に変化が生まれました。
自尊心です。誰も見てなくとも掃除をすることで、自己肯定感が高まったのです。何となく誇らしげな気分になってくる。
これはけっこう効果があります。なんなら、成功哲学書を百冊読むより効果がある。今の仕事を続けている限りは、トイレ掃除も続けたいと思います。
簡単なことが大事
ガネーシャの課題は、すべて簡単です。しかし、簡単なことだからこそ、続けることが難しい。
簡単だからと侮るからです。俳優、高橋秀樹さんの「誰でもいい仕事こそ、一生懸命やりなさい」とはまさに名言。
小さな事でも誠実にやる、その積み重ねが、大切なのではないでしょうか?そして小さなことは、実際には小さくありません。
例えば挨拶。これも簡単なことです。私の母は、私が仕事から帰ってくると必ず「お疲れさまでした。」と敬語で言ってくれます。
そういう些細なところで人の評価って決まるんですよね。
本に期待してはならない
ガネーシャは言います。「自分の教えなど、過去の成功本に書いてある」と。
人間の歴史において、成功するための法則はすでに解明されているとか。それでも成功法則本が売れ続ける理由は、結局のところ、誰も実践しないからです。
この本なら私は変われる、あの先生なら自分を変えてくれるはずだ、と期待して何もしない。
もしも行動に移すなら、それが仮に間違った方法であったとしても、偉大な一歩であると本書では説かれています。
行動し、それが自然な習慣となるまで実践し続けること、それがガネーシャのメッセージです。
やはり、最後に求められるのは、素直になってやってみる、それだけなんでしょうね。
深刻にならないこと
頑張ることは大事ですが、結果ばかりに捕らわれず、楽しむことも大切です。人生は、さまざまな経験を味わうための場だからです。
そのために世界を創ったのだとガネーシャはいいます。ガネーシャからの最後の言葉。”世界を楽しんで。心ゆくまで ”